実は微妙に「けものがれ、俺らの猿と」とごっちゃになっていた

腑抜けども、悲しみの愛を見せろ

腑抜けども、悲しみの愛を見せろ

腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」も観てきました。「自分には特別な才能がある」ということについて微塵も疑わない姉(サトエリ)を中心に、自分をいたぶる姉を観察し、漫画に描かずにいられない妹、家長として振る舞いながらも何一つ出来ない兄、ひたすら翻弄され続ける兄嫁の4人が紡ぐ家族(という呪縛の)ドラマ。地方、家族という人間関係の濃度を二重に濃くした状況設定ながら、姉の文通や妹の漫画など外部(東京)とのつながりが明示されているためか、作品のベクトルは閉塞感の増幅というより打破に当初から向かっている感じで口当たりは結構まろやかです。
 
ちなみに何で観たかというと予告編で流れた、狂気にかられた佐藤江梨子を描き出す(多分)呪みちる先生のペン。たとえば職人の作業って、それ流すだけでも番組として成立しちゃうような芸になってるわけで、NHKの「サラリーマンNEO」も、コントは面白いと思わんけどオープニングに流れる輪派絵師団のモーションペイントは楽しい(描いて描いて上書きして上書きしてという作業がパフォーマンスになること自体、そういうことだと思う)。当然漫画家の皆さんの手元だって覗けるものなら本当に面白いわけで、そんなんで観たら作品も面白かったというオチでやんす。
 
しかし現実として邦画の予告編の萎えっぷりはしゃれにならんな。「恋空」(これ別格)とか「アヒルと鴨のコインロッカー」とか「クローズド・ノート」とか(ぶっちゃけ映画秘宝大プッシュ中の『スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ』もちょっと……本当にあんな英語でやんの?)本編観る前に暗澹たる気分になるわ。嘘でもいいから予告編くらいは期待させる作りにして下さい、グラインドハウス方式で。
 
とりあえず笑顔で突拍子もないこというイケメン禁止。