ここでも

評価する声が高い「トゥモロー・ワールド」。背景説明の有無がどこまで内容に影響を与えるのかで意見が交わされてたりしましたが。
http://d.hatena.ne.jp/throwS/20061205#1165314055
論議に何となくリリー・フランキー氏の映画評を思い出したのです私わ。

 なんだったのかはもう忘れたが、以前観た香港映画の冒頭シーンである。
 友人の住む町にやって来た主人公。しかし、その町中のいたる所に妖怪や化け物のたぐいがウヨウヨしていた。茫然とする主人公は彼を迎えに来た友人に思わず尋ねる。「どうなってんだ、これはいったい……!?」
 そりゃ、聞きたくもなるだろう。そして、友人は驚きと、なぜの嵐に困惑する主人公に言ったのだ。
「聞くな」。それだけだった。この映画、この町になぜ妖怪が巣食っているのかについての説明は、このひと言で片付けられた。しかし、これ以上にタイトで説得力のある説明があるだろうか。「聞くな」である。色々あるんだろうが、その作り話の信憑性をどれだけ聞かされるよりも、伝わる説明である。
 映画における唐突。これほど胸踊ることはない。しかし、人はその唐突を、原因を、理由を説明したがる。そして、ダレる。

日本のみなさんさようなら (文春文庫PLUS)

日本のみなさんさようなら (文春文庫PLUS)

 
引用に引用を重ねて何を言いたいのかというと、「トゥモロー・ワールド」は観に行く前に上映が終わって悔しいなということなのである。