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プロパガンダ―広告・政治宣伝のからくりを見抜く

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影響力の武器[第二版]―なぜ、人は動かされるのか

影響力の武器[第二版]―なぜ、人は動かされるのか

渋谷シアターNレニ・リーフェンシュタール監督「意志の勝利」観てきたっす。ナチスプロパガンダ映画としての特質と、映画としての完成度とによって毀誉褒貶の激しい作品ではあるけれど、それだけに語るべき所も多い。しかし私は語れる言葉を持たない。いいんだよんなこたぁ!
 
「神は細部に宿る」って建築学が語源の割に色んな世界でその意味を変えて使われている言葉だけど、ノンフィクションとかのジャンルでは「さりげない部分の描写こそが全体の説得力を増す」という意味で使われています。いや、使っている人もいるんだよ、中には。
そいでこの映画でも細いとこでの描写が効いてて、たとえばヒトラーユーゲントの観閲でさりげなく挿入されるお子たちの背伸びした足下のアップ。この辺でヒトラーのカリスマ性或いはお子たちの心酔ぶりが見事に伝わるわけだよ。ところがそれが本当に現場の話なのかというとまた別で、実際なんか雰囲気の異なるカットが盛んに入ったりする。同監督での「民族の祭典」でも予選や練習時に撮ったカットが紛れ込んでることは有名でしたね。その辺の功罪に引っかかる人はいるかもしれない。
テレビの嘘を見破る (新潮新書)

テレビの嘘を見破る (新潮新書)

別にこの本にその逸話が載っているわけではないが、悩める一冊。
 
じゃあそういう小細工の効かない、圧巻の一言に尽きる行進シーン、大会シーンはどうか(これだって挙手礼とその影の織りなす幾何学模様といった監督の冴えもあるんだけど)。これはもう「スクリーンで観ろ」としか言えない凄まじさなわけですが(『圧巻の一言』とか『としか言えない』とか、こういうのを逃げという)、「高度に発達した科学は魔法と見分けがつかない」風に言えば「高度に発達した儀礼はギャグと見分けがつかない」という世界。こういうことを言ってられる平和な日本でありますように。

観てて人酔いするかと思った。