今日読み終わった本

戦前の少年犯罪

戦前の少年犯罪

積ん読段ボールに入れっぱなしだった「戦前の少年犯罪」読了。
内容については散々語られ尽くしているので省略。「『昔に比べて今のガキの凶暴なこと!』なんて皆さんはおっしゃいますが、実際は昔の方がこんなにヤバかったじゃないのフフン」という話。しかし後半になると、事例の羅列に飽きてくるせいか、筆者が自分の分析を展開する「二・二六事件ニート暴走論」とかの方が面白く感じられてしまうのだな。
 
とりあえず「昔はよかった」論の根強さ・胡散臭さは深町先生に限らず糾弾激しきところでありまして、確かにその論拠はいいかげんこの上ない。たとえば「昔の喧嘩は引き所を心得ていた」というおっちゃん達のよくある(ここ注目)昔語りも突っ込まれまくっているわけです。
大体先日亡くなった川内康範先生にしてからがこれだ。

篦棒な人々ー戦後サブカルチャー偉人伝 (河出文庫 た 24-1)

篦棒な人々ー戦後サブカルチャー偉人伝 (河出文庫 た 24-1)

一度相手が謝るから許してやったこともあったけど、喧嘩やるんだったら、中途半端に許しちゃダメだ。徹底的にやらないとあとで狙われる。こっちが許してやったのに、その野郎は俺のことをつけ狙って新聞配達どころじゃないんだから。喫茶店にいようがどこにいようがドスを持って襲ってくる。とうとう最後にはうしろから刺されちゃったよ。それから俺は喧嘩となったら、相手が謝ろうがなんだろうが徹底的にやっつけるようになった。相手に余力を残してあげるような変な慈悲をかけると、あとで自分がひどい目にあうからな。

さすが「憎むな、殺すな、赦しましょう」だよな!
 
てな感じで、あやふやな「記憶・イメージ」であやふやな「今」を語ることへの警鐘を鳴らす本。しかしなにげにこの本も、批判対象である「よくある」適当評論の具体例がすっぽり抜け落ちているのではねえかと、そこは指摘しておきたいのDEATH。