グループ名「フリーワールド」はナシだよな

 そのうち取り上げようと思いながら随分経ってしまった長谷川町蔵氏のオハナス。

http://d.hatena.ne.jp/machizo3000/20060105
どうでもいいけどアイス・キューブビートたけしってソックリだよね。ゲットーに生まれ(サウス・セントラルと足立区)、しかしながら親に厳しく育てられたため、このエリアでは異例の大学進学(キューブはアリゾナ工科大、たけしは明治大工学部)をしながら、芸能界入りのためにドロップアウト(キューブはラッパー、たけしは漫才師)。しかしながら芸能界で成り上がるために幼馴染からの伝聞や近所の怖いオジさんのキャラをパクってストリートなイメージをまとって大ブレイク!

普通に膝を打ったエントリだったのですが、私がたけしを連想したのはエミネムの「8 Mile」で、であります。

8Mile [DVD]

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(以下少しネタバレ)
 クライマックスのラップバトル、口撃の的となるウィークポイントを多く抱えたラビット(エミネム)は「俺はトレイラーハウス暮らし、女は寝取られた(まあ大意な)」と自ら弱みを晒すことで相手のツッコミ所を奪いました。これってまあ、ビートたけし御大が日々振るっている「オイラなんて××だもん、●●なんて言ってらんないよ。バカ言ってんじゃないって」といった「弱者の強み」を生かした批判論法に近いものじゃないでしょか。 なぜ今更書いたかというと、深町先生のエントリを読んでのことであります。

http://d.hatena.ne.jp/FUKAMACHI/20060512
昔から関西芸人みたいに「あたしら、ぼくらは庶民!」と庶民性をアピールして、人気者になろうとする人間は多いし、昔からあった。しかしそれに加えて「あたしら、ぼくらは(弱い)庶民!」と胸を張ってアピールするやつがものすごく多い。必死の訴えなのかもしれないけど、それ自慢してないか?

 ラッパーのタフ自慢、或いは障害者芸人のネタ。ある程度成熟した社会においては、弱者を表立って叩いたり笑ったりすることはタブーですが、その禁忌から自由になるのはそれらを通し、「同じ弱者が弱者を笑ってるんだから(強者の俺らも)それに乗ろう」と考えるとき。全ての根底には差別意識があるのだ……ってのは牽強付会(なうえに関係ないな)で、開高健先生の作品を挙げるまでもなく、弱者や少数派とされる者のしぶとさや繊細さに美を見出す向きもあるわけです。「結核に憧れる文学少年」じゃねえけどこれの幼稚なバージョンが最近のメンヘル自慢に思えてしょうがないわけだボキは(あ、もうビートたけしは関係なくなってます)。

日本三文オペラ (新潮文庫)

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