映像のスケールは兎も角、内容としては良質な小品ってとこですが

 「ジャーヘッド」を観てきました。ストーリーは一言で言ってしまえば「主人公(斥候狙撃兵)が誰も殺さない戦争映画」ということになりますか、予告編で流れてたKanye Westの「Jesus Walks」があそこまでハマってなかったら見に行かなかったかもしれない。
ザ・カレッジ・ドロップアウト+1
訓練編が明らかに「フルメタルジャケット」だったり「地獄の黙示録」の上映会で兵隊さんが大騒ぎしたり、戦地で「ディア・ハンター」の鑑賞会を開いたり(とんでもないオチがつく)、監督はこの作品を従前の戦争映画への対比として描こうとしているのでありましょう。
フルメタル・ジャケット [DVD]
地獄の黙示録 特別完全版 [DVD]
ディア・ハンター [DVD]
 って普通の映画評論めいたことを私がやってもしょうがないのですが、印象深いのは海兵隊ジャーヘッド(空っぽ頭=バカ)の兄ちゃん達が繰り広げる「おめーのガキどう見てもこりゃ黒人だよ(嫁さん浮気したぜ)」「(彼女の)写真見せろよ(オカズにするから)」といったやり取り。なんとなく昔通ってた格闘技の道場の雰囲気を思い出して懐かしかったのですよ。こーゆーデリカシーゼロのやり取りがGEEKSにとって地獄であろうことは想像に難くないのですが(実際作品の中でも気の弱そうなメガネ青年が結構ひどい立場に置かれている)、「なんとなくJOCKSを持ち上げる一般人」と「増長する運動バカ」という悪循環が繰り返される現実世界よりはこの箱庭の方がまだマシだ。
 と言うのは昨日なんとなく見てしまった「ジャンクSPORTS」の影響。体育バカのトンパチ披露なら兎も角、スポーツエリートの単なるオレ自慢見てて何が面白いんだかさっぱり理解不能でした。まあトリノじゃバカバカ負けてるしざまあねえやな。
 
 瑕瑾を挙げるとすれば、ボビー・マクファーリンとかトム・ウェイツとかパブリック・エネミーは使われてるのに20年来アメリカの筋肉バカ御用達であったはずのAC/DCが流れてなかったこと。イラク戦争ですら使われているくらいのアンセムなんDEATHけどねえ。

http://music.yahoo.co.jp/rock/music_news/barks/20040421/lauent011.html
AC/DCイラクの膠着状態を打破!?(BARKS)
イラクファルージャに駐留中の米軍はちょっと変わった音楽の使い方をしているようだ。Arrow1007 FMなどによれば、米海兵隊軍用車のスピーカーからAC/DCなどの曲を大音量で流しているという。これはスンニ派イスラム教徒の戦闘員に対する心理戦法の一つ。イスラム圏ではこうした音楽がないため、戦士の神経をすり減らす効果がある。

この使い方もどうかと思いますけどね……

For Those About to Rock We Salute You (Dlx)

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