人間☆失格

人間失格 (集英社文庫)

人間失格 (集英社文庫)

太宰「人間失格」、人気漫画家の表紙にしたら売れて売れて
 
 太宰治の代表作「人間失格」の表紙を、漫画「DEATH NOTEデスノート)」で知られる人気漫画家、小畑健さんのイラストにした集英社文庫の新装版が6月末の発行以来、約1か月半で7万5000部、古典的文学作品としては異例の売れ行きとなっている。

 「恥の多い生涯を送ってきました」という文章で知られる「人間失格」は、太宰が自殺する1948年(昭和23年)に発表された自伝的小説。生きることの苦悩を見つめた小説には若い世代のファンが多く、52年初版の新潮文庫は602万5000部と夏目漱石「こころ」と並ぶ大ベストセラー。90年初版の集英社文庫でも40万部を超えている。

 従来の表紙は抽象画だったが、編集部は、「いかにも名作」という路線からの脱却を目指して小畑さんに表紙絵を依頼。新装版は、「デスノート」の主人公を思わせる学生服姿の男の子が不敵な顔で座るデザインとなった。

 文芸作品と人気漫画家のイラストという異色の組み合わせはインターネット上でも話題になり、「このコラボはすごい。カバー買いしました」との声も出ている。

 
「売れて売れて」という見出しの言い回しが以前の職場に出入りしていた胡散臭い社長(逢ったときの第一声が常に『いや〜儲かっちゃって儲かっちゃって』だった)を彷彿とさせて個人的にアレですが、「一夢庵風流記」や「駿河城御前試合」が「花の慶次」や「シグルイ」の後で表紙が変わるのとは違って、かなり戦略的な装丁なんですね。まあ勝てば官軍結果オーライ。手に取る人間が増えるならばとりあえず何よりであろう。
そういえば記事の中に出てくる「こころ」も榎本ナリコ先生の手によるコミカライズが数年前になされましたが、集英社文庫からは2007年限定蒼井優カバーで出ています。こっちはどうなんでしょうね。

一夢庵風流記 (集英社文庫)

一夢庵風流記 (集英社文庫)

駿河城御前試合 (徳間文庫)

駿河城御前試合 (徳間文庫)

こころ (集英社文庫)

こころ (集英社文庫)

で、件の表紙がこれ。
 

 
あまり恥の多い生涯を送ってきてなさそうな(というかその実感がなさそうな)少年ですけどいいんでしょうか。この時代「人間失格」という作品から連想する漫画家と言えば久米田康治先生にもかかわらず、そうはならない社会に絶望した!