裕次郎の兄です

石原知事、知事報酬は最高でも作家の所得「ゼロ」

 3日出そろった都道府県知事の2005年所得で、東京都の石原慎太郎知事はもう一つの顔である作家としての所得をゼロと報告、前年の全国トップから3位に下がった。事業所得がなかったのは、知事として公開対象となった2000年以来初めて。

 石原知事は、「老いてこそ人生」(幻冬舎)がベストセラーとなった02年には事業所得が1億201万円に上った。昨年も話題作「息子たちと私 子供あっての親」(同)があったが、出版が11月だったこともあり、著作活動に使った経費が印税収入を上回り、結果として所得ゼロになったとみられる。

 月に一度の愉しみ、産經新聞連載の石原慎太郎閣下「日本よ」は本日掲載でした。

人間の弱劣化
……己の人生がどうにもままならぬので、他人の手で殺されたく小学校に乱入して見境なく多くの生徒を殺した犯人を、司法も珍しくそれに応えて素早く死刑の執行はしたが、あの犯人も、そしてまた、自分一人では自殺できずに、インターネットで呼び合って間際に互いに名乗り合うこともなしにただ皆して密室で練炭を囲んで中毒死する若者たちも、実は皆同じ人間として劣化した弱い者でしかありはしない。
 あるいは、この世界最大の地震国でいつか当然到来するだろう大地震に備えての新しい高層ビルの耐震性を、ただ金のために偽ってはばからない専門家たちも、日銀総裁という金融の最高責任者にありながら、国会で問いつめられれば「利殖のため」と自ら吐露せざるを得ない権威者も、ともに己の立場その責任をさして苦悩もせずつい忘れるかなおざりにした、人間としてごくごく杜撰な、つまり社会の中での己の立場を踏まえての人間同士の連帯に心の及ばぬ、専門家としても権威者としても、劣化した虚弱な人間にほかなるまい。

さあ、あなたならどこで息継ぎをしますか。